【演出】鳥公園のアタマの中展2『緑子の部屋』
鳥公園のアタマの中展2
演出:葭本未織(少女都市)
出演:加藤広祐・学習院ひろせ・谷風作・Jean-Philippe
撮影:三浦雨林
主催・製作:鳥公園
助成:公益財団法人セゾン文化財団
https://www.bird-park.com/next
http://www.geigeki.jp/performance/theater203/
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当日パンフレットに寄せて /演出 葭本未織
わたしの一番古い記憶のひとつに、仮設住宅で迷子になった、
記憶。2歳児の記憶である。笑ってしまうぐらい不確かな、 けれど思い出せる、記憶。
その家では、我が家にはないコタツにいれてもらった。 あたたかい部屋でおばさんに「おなまえは?」と聞かれた。 わたしはおそらく「みおり」と答えた。けれど返ってきたのは「 みどりちゃんね」という返事とお菓子だった。
それ以降わたしは「みどり」という名前を、 自分のもう一つの名前のように感じながら育ってきた。
『緑子の部屋』は、孤独な一人の女と、 それにまつわる記憶の話である。
女は蟻を飼育している。蟻たちは巣を作る。 瓶の中に小さな村ができる。女は蟻の巣に「コミュニティ」 を見ている。
女は死んでしまった後も、「コミュニティ」 が知りたくてたまらない。だから女は、人間を集めて、また「 コミュニティ」を観察することにした。
なぜなら彼女は生きている間、けして「コミュニティ」 に入れなかったからだ。
上演されるのは女のための蟻の巣だ。観客はいっとき、 それを覗きにきた観察者だ。
観客はただ眺めることしかできない。けして舞台に介入できない。
「農場主」(ファーマー) と呼ばれていた女が蟻の巣の一部になれなかったように。
あなたが彼らに向けるまなざしの孤独さと暴力性をどうぞ感じてく ださい。
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舞台写真