ショーシャンクの空に:伏線回収のための丁寧なやり直し
伏線・伏線・伏線…最後にどとうの展開、の物語。
こういう物語は好きだ。
自分でも撮ろうとしたことがある。うまくいかなかった。
文章上ではうまくいっていた。それは、文章は伏線に気がついた時点で、もう一度読み直せるからだ。映像は一回だ。DVDでもないかぎり。
「ショーシャンクの空に」では、回想シーンをまるまるやり直していた。
同じシチュエーションで、違う人物の視点から。
それとともに、前のシーンと同じ構図と同じカットも多用していた。
基本は前のシーンと同じように、同じ構図で同じカットで。
そこに、新たな人物の視点をいれる。わかりやすく。(バストショットなどで)
このように丁寧に、うっとうしいと思うぐらいはっきりと「やりなお」さなければ、観客はなにがなんだかさっぱりだろう。
「伏線回収のための丁寧なやり直し」
ショーシャンクから学んだ一番のポイントはこれだ。
以下はネタバレ
・空撮ではじまり空撮で終わる物語。とくに最初の囚人たちでうめつくされる刑務所はあっかん。すごいエスタブリッシングショット。
・一番好きなのは、壁にかけてあった聖書の一文のアップ、そして人物へのパン。これも伏線回収なのだが、大画面でこの一文がドッとでてきたら身震いするだろう。生活に根付いた聖書の一文だからこそ。また、アメリカ人とは異なる文化の中で生きるわたしたちにも、身震いするほどの威力をもっている。そして、わかりやすい。頭の中で、スクリーン上で行われた過去のできごとと文章が一致し、ゾワゾワする。これは、演劇ではできない伏線回収だろう。思えばこういうことを「ガラスの動物園」でテネシー・ウィリアムズはしたかったのだろうか。
伏線回収は丁寧にわかりやすく。