にんげんはかんがえる葭である

よしもとみおりのブログ

演劇人よ、ミスを許せ(しかし、わたしは忘れない)

ただし、他者の魂を傷つけることなかれ。

 

わたしは未だに根に持っている。

キャスティングをチラつかせ、未成年を脅迫した演出家の悪行が明るみに出た時、

「だけどそういったどうしようもない人たちを受け入れるために演劇があるんだから」

と言った、わりかし有名な演出家のことを。

その脅迫者を肯定したありとあらゆる演劇人のことを。

わたしは死ぬまで根に持ち続ける。

なお、その脅迫者に電話口で脅されたわたしは、まだ謝罪をしてもらっていない。

上記のことは、ミス、どころじゃ済まねえので、決して混同すんじゃねえぞ。

 

って事で別話題です。

 

「あなたの職場はミスが許されますか?」

これが最近、ありとあらゆる全国の働いてるみなさんに聞きたいことのナンバーワンに入っている。

 

そりゃミスにも大小があり、間違えて患者の腹にメス置きっぱにしちゃいました!は、とりあえず許されないミスの極みだろう。人死ぬし。

 

ストーカー相談されてたのに対応しなくて相談者殺されちゃいました!は、ミスではない。他者の言葉を軽んじた結果であり、なぜ軽んじられたかには、根深い差別がある。しかしこれはまた別の機会に話そう。

 

とりあえず、わたしにとって、人の魂が物理的にも文学表現的にも死ぬか死なねえかみたいなところが、取り返しのつかねえミスかそうじゃねえかの線引きだ。

 

他はだいたい全部ごめんなさいと言っとけば良い。

とりあえず怒られるし叱られるだろうし、またミスらない策もそこそこに考えなきゃいけねえが、ごめんなさいと言って許してもらえらないことは一つもない。

 

演劇の現場はミスが許されなさ過ぎな気がする。

 

は〜〜いまた主語バカデカだよ〜〜!

 

でもマジでそう思うので書きました。

詳しく書くと怒られるので書きません。

だけどたびたび思うんですよ、

「この職の人たち、ミスが許されてねえんだな」と。

 

なんでなんだろうなと考えた時に出てくる理由は、

演劇が一回性を売りにする芸術だから

であり、

徒弟制度が根深く残る業界だから

であり、

とかく貧乏でエラーにまつわる金銭問題を起こしたくないから

であり、

なによりも、

自分が諸先輩方からそうされてきたから

だろう。

 

そもそも「現場」と呼ばれる職と職場には、前時代的な乱暴さは残るのかもしれない。わたしも飲食業しかしてなかった頃はまったくもってミスが許されなかった。

 

しかし演劇の場合はデスクだろうと現場だろうと関係がないように思う。

 

似て非なる他業種を経験して思うのは、

「えっまちがっちゃった〜すみませ〜ん」

「えっいいよ〜!」

で終わる仕事を経験したことないことは、マジでもう、不幸だ。

 

上司のわたしは、だいたいの仕事は「ごめんなさい」で済むから、とりあえず自発性を持って仕事をしてほしいと思う。

部下のわたしは、とりあえず自発性を持って仕事をするので、ミスった時に「ごめんなさい」で許してもらえればと思う。

とりあえず、演劇に限らず、不幸な職場があんまり増えなきゃいいなと思う。

(わたしがミスをしたのではなく、相手方がミスをした時の話をしています)

 

冒頭に書いた、絶対忘れない出来事が、二度も起こらないために、8月に『光の祭典』という演劇をやります。

 

少女都市 第8回公演

『 光の祭典 』

こまばアゴラ劇場にて

(駒場東大前駅から徒歩3分)

 

【 主宰・葭本未織からの言葉 】
『光の祭典』は2017年に大阪で初演、2018年に兵庫で再演をしました。
暴力からの克服をテーマにした本作は、演劇批評誌『テアトロ』・毎日新聞 等で取り上げられた他、平成30年度アイ・ホール break a legに選ばれるなど、高い評価を得ています。
初演・再演共に、非常にたくさんの反響をいただきました。
その多くが、「もしかしたら自分もこうなるかもしれない」という気づきや恐れの言葉でした。
それほどまでに暴力という存在はわたしたちの日常を取り巻いています。
私は、すべての暴力、そしてとりわけ性暴力を、決して許しません。
芸術の名の下に誰かが誰かを抑圧する時代は終わりを告げていて、私たちはその真っただ中にいます。同じ時代を生きるあなたへ、どうか届きますように。
そして今傷つき、どうしようもならないと倒れ込みそうなあなたへ、どうか届きますように。
『光の祭典』満を持しての東京公演です。たくさんの方に見ていただきたいと思っています。どうぞ応援お願いいたします。

 

【 あらすじ 】
レイプ被害が原因でカメラを持てなくなった女性映画監督・まこと。
震災で失った父親の死を忘れられずにいる駆け出しの映画青年・江上。
映画を通して惹かれあった二人の蜜月は、突如、江上が姿を消すことで終わる。
半年後、江上は、新進気鋭の映画監督として現れる。
彼の作品はまことを盗撮した映像で創られていた。
震える手で、再びまことはカメラを握りはじめる。

暴力と権力に踏みにじられ、誰かを傷つけることでしか自分を癒すことのできない若者たち。
憎しみと暴力の連鎖を断ち切り、歩み出すことはできるのか。

自身も阪神・淡路大震災を被災した作家・葭本未織が描き出す、喪失と復活の物語。

 

公演日程
8/21水 14時・19時半

8/22木 19時半

8/23金 14時・19時半

8/24土 13時・18時

8/25日 13時・18時

8/26月 14時・19時半

8/27火 14時


・事前精算(振込)

http://ticket.corich.jp/apply/100663/ 

・事前精算(クレジット)

https://engeki.jp/pass/redirects/link/604

・当日精算

https://www.quartet-online.net/ticket/hikari2019

 

清瀬やえこ(片矢まこと役)

谷風作(江上透役)

中野亜美(坂上夢波役)

加藤広祐(麻生良太朗役)

宮川まき(滝内あおい役)

齋藤朱海(富田多江役)

桑野晃輔(藤原司役)

青海アキ(みらい役)

葭本未織(みらい役)

玉垣光彦 (井上役)

 

他詳細はこちら!

http://girlsmetropolis.com

 

それでは良き火曜日を。

よしもとみおりでした。