にんげんはかんがえる葭である

よしもとみおりのブログ

9月の一週目を終えて①働き始めた

全ての用意を済ませてカフェへ出かける直前、ほんの一瞬、ソファの上に座ったら犬が来て膝の上で眠り始めてしまった。こうなると、とてもじゃないが出かけられない。えーん、犬は可愛い。そしてその可愛さは強い、わたしは弱い。いや、弱いのはわたしの「家で頑張って書きものをするぞ」という意志である。

バイトをはじめた。「働く」という感覚で働くのは一年ぶりである。帰郷してから———思いがけないほど自分の筆が進まないことに気がついてから———ずっと働いてみたかった。だけど一年は、この状態で頑張ってみよう、書くことだけに自分を集中させてみよう、そう思った。で、一年が経ち。ひとつの長編もできあがらなかったので、やっぱり自分には働くことが必要なんだなと思い働き始めた。

週に3回、数時間だけ、近所の古本屋で。

久しぶりの「働く」は楽しい。人と会話するのも、体を動かすのも。働く時間も短くて、近所だからすぐ家にも帰れる。働きはじめる時間も寝坊を気にするような時間じゃない。だから、夜ぐっすり眠れるようになった。あんなに長くて永遠に思えた一日、一日が、一瞬で過ぎるようになった。

なにより、働いていなかった頃はなかなか持てなかった期限の意識、「いついつまでにこれをやるぞ!」みたいな〆切の意識が持てるようになった。だから休日も(休日!この感覚も懐かしくて最高である、なにしろ一年間、ずーっと休日であり平日みたいなもんだったからだ。話を戻すが)朝いつもの時間に起きて、家事をして、机にむかう……というようなことができるようになった。

うれしい。わたしはとってもうれしい!

自分の部屋のソファの上でいまこれを書いている。ここ一年のマイブームであった「部屋づくり」に関することを書いていたら、思いのほか長くなってしまったので、それはまた別の日に書こうと思う。

とりあえず今、犬はまだわたしの足の中で眠っている。あおむけになって、夢をみているのか手足と鼻をぴくぴく震わせている。そのピンク色のお腹にそっと手をやると、やわらかくて、あたたかくて、いとおしくて、わたしはちょっと涙ぐむ。