にんげんはかんがえる葭である

よしもとみおりのブログ

観客は、点を線とでつなぐひと。

 


今しか書けないことがある。

 


と、思ったので、眠くてふらふらですが、筆を取ります。

 


今日、稽古の初日でした。

 


そう、ついにはじまったのです、『光の祭典』の稽古が。

 


 


稽古って何するの?って感じだと思うので、ちょっとご紹介させてください。

 


稽古にはいくつかの段階があって、まず、本読みという過程があります。

読み合わせともいいます。

つまりは、台本を読む稽古です。

だいたい机があって、イスに座って行われます。

 


そのあと、台詞に慣れてきたら、立ち稽古に入ります。

立ち稽古とは、台本を持ったり、持たなかったりする状態で、実際に舞台の上でどう動くか、探っていく作業のことです。

 


今回の光の祭典は再演なので、明日から立ち稽古です。(ヒィ~~)

これは、台詞と作品の流れを把握してないとつらい作業なので、初登場の皆さん、ごめんなさい。とても明日はハードです。

 


でも、とても楽しみです。

今日という日をわたしはずっと楽しみにしてきて、それこそ、去年の10月からずーっと楽しみにしてきたから。

そして、今日の稽古は、その楽しみがもっと倍増するような稽古でした。しあわせです。

 


 


さて、稽古というのは、台詞を覚えて、動ければ終わりかというとそうじゃなくて、要所要所で演出家から、「オーダー」というものが入ります。

 


オーダーというのは、わたしが勝手にそう読んでるだけなんですが、つまりは役者に「こうしてみてください」とお願いすることです。

そして、役者はそのオーダーに合わせて、演技を変えていきます。

 


 


「演出をつける」、と言ったりするこの行為を、「オーダー」と呼ぶことを、わたしは気に入っています。

 


それは、なんとなく、対等な気がするから。

 

 

 

演出家というものは絶対的なものではない、と気がついたのは、最近のことです。

 


わたしにとって演出家というのがどういうものだったのかは前にぼんやりブログを書いたのでよければ読んでください。

 


そんな状態だったわたしだけど、少女都市が劇団になって、『向井坂良い子と長い呪いの歌』(劇団になって最初の作品ですね)、『乙女の奇妙な冒険』(初の30分作品でした)という2つの作品を通して、

 


演出は持つ権限は大きいけど、ひとつの作品における一要素に過ぎない。

 


と、気がつきました。

 


それはどういうことかというと、他者がいて初めて作品は完成するということです。

 


他者とは誰かというと、役者だったり、スタッフだったり、そして観客、で、あったりします。

 


 


わたしが見た「光の祭典」は、わたしのフィルターを通した「光の祭典」です。

わたしだけの「光の祭典」。

 


 


わたしが、(手前味噌ですが)初演を通して「光の祭典」は面白いな、と思ったのは、人によって物語の見え方が違うところです。

 

なぜ人によって物語の見え方が違うか。それは、「光の祭典」では、出来事は、ランダムに配置された点のように表示されるからです。

 

そして

役者や、スタッフや、観客が、

舞台上にランダムに置かれた

点のような出来事たちを、

それぞれ一人、一人で、

頭の中で、つなげる。

 

そのつなげるという行為が、人の記憶を刺激する。真っ直ぐに置かれたわけではない、ランダムな点と点。彼らをつなぐために、役者や観客は自分の経験則をつかう。だから、否応がなしに、人生と交錯してしまう。

 

「光の祭典」を観劇することや演じることは、その人の人生と「光の祭典」が交錯するということです。

 

自らが、自らだけの「光の祭典」をつくる。

 

演じたり、観たりすることで演劇に関わることは、「紡ぎだす」行為なのです。

 


だから、話を戻すと、

演出家の仕事は、その点と点をつなぐための世界観を明示すること、だな、と思っています。

 

もうそれだけ。

あとは、他者にゆだねる。

 

 

自分ではない人に作品をゆだねるということは、自分のフィルターをかけただけの作品とは、全く違った別の作品が誕生する、ということです。

 

ランダムに置かれた点をどんな線でつなぐかは、役者や観客次第。

その、個々人にゆだねるという余白を残しておく。

 

それは結果的に、ひとつしか見方のなかった作品を、多方向からとらえることを可能にします。

 

だって、みんな人それぞれ違うから。違う人生から導き出された、その役者・その観客だけの、キャラクターやストーリーの解釈。それを受け入れる。世界観だけはきちんと残して。そうすると、媒体として、作品世界が広がってゆく。作品が全員から紡ぎだされるものになる。

 


今回は出演者が18人いて、スタッフさんは9人。

 


それに、チケットを買って、いま楽しみに待ってくださっている何百人ものお客様たちがいる。

 


きっとそれぞれに違う「光の祭典」になると思う。

全く違う見え方をすると思う。

どんな風に、人生と交わるのだろう。

わたしの書いた「光の祭典」が、誰かの人生と交われるなら、すごくわくわくします。

 


今日、お稽古をして思ったけれど演出をするのは、すごく楽しい。

いまは観客の皆さんよりも役者の皆さんと接する時間の方が長いのだけど、わたしは、役者の人生と交錯するために、全力を尽くせばいいだけだ、と心から思っています。

全力を尽くした結果にやってくるのが「オーダー」で。わたしは役者の台詞や動きに、人生の実感をいれてもらうために、言葉を尽くす。

 


演出は決して、暴力装置ではない。

 


だから、尽くす。

 

稽古場に来てくださる俳優と、世界観を一緒につくってくれるスタッフと、会場に来てくださる観客のために。

 

尽くす。

 

あまり集合写真とか、載せるの得意じゃないのだけど、載せます。このメンバー(そして、松田くん、上杉さん、鳩川さん、もりたさん、近藤さん、尾崎商店の皆さん、スタッフの皆さん)で、創ります。

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そして、あなたとも。

 


明日はお稽古。

それからラジオで。

またお稽古。

 


しあわせです。

届けます!

 


よしもとみおり

 


 


【ラジオ出演のお知らせ】

 

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5/8 (火) 17:30-17:50

さくらFM「cafe@さくら通り 火曜日」

※さくらFMのホームページから聴取できます。

m.sakura-fm.co.jp/page/Home.php

ゲストとして : 葭本未織(少女都市)、繁澤邦明(うんなま)

 


ゲスト出演!

 

光の祭典の詳細はこちら

http://stage.corich.jp/stage/91467

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