オールナイトイッポン Re:mix!
オールナイトイッポン!無事終演しました。
ご来場くださったみなさま、
本当にありがとうございました。
◇
この一週間、ずっと、メモ帳にむかって、
文字を打ったり消したりしていました。
本当にいろんなことに気がつかせてくれた座組が、
こんなにも愛おしくて、
もうそばにいないことがさみしくて、
気持ちと文字がとまらなくて、
何千字も書いて、
その中に、ある確信的な言葉を見つけてしまって、
ああ〜〜これは新作にしたい!と
思っては消し、思っては消し…
気がついたらまる一週間経ってました。
終わってもたくさんのことを気づかせてくれるなんて、本当に、自分にとって大切な作品だったのだなあと、しみじみと感じました。
オールナイトイッポン Re:mix!
きりがないので、作品だけ振り返ります!
◆
今回の役は、元デブのギャル(もう文字面がすごい)だったのですが、わたし自身、現在と小学生の時が体重が一緒という、まあまあな肥満児だったので、すごく感情移入ができました。
男子からデブって言われたり、
歩いただけで笑われたり…
些細なことではあるけれど、
自分の中にずっしり残った呪い。
そんな枷を、
今回の役のキョウコちゃんは
ぶち壊す強さを持った女の子で、
本当に、やってて楽しかったです。
いろんなお客様にも褒めていただけました。
うれしい。
本当に、この役をくださった表情さんに感謝です。
◆
わたし自身、
今回大きく変わったことが2つありまして、
1つは、男の子のことが大好きになりました。
語弊があるような書き方だな笑
でも、本当に、男の子の、
とくに男の子の集団のこと、
大嫌いだったんです。
何人かでつるんでて、さわがしくって、空気読めなくて、女の子のことランクつけて、上っぽい女の子には媚びて、下の女子には横柄な態度をとるか無視するかして、1人じゃ意見も言えないのに、集団でいると偉そうで…
そんな、小学生や中学生のころの男の子像を、
24までずーっと引きずってきました。
だけど今回、オールナイトイッポン!を通して、
表情豊さんの作品を通して、考えが180度変わりました。
男の子って、ばかだけど、かわいい!!!
それは、豊さんの書くキャラクターもだし、
そのキャラクターを体現してくれた
共演者の皆さんのおかげでもあります。
本当に、毎日稽古を通して、
男の子ってすてきだなあと思えるようになりました。
◇
佐藤辰海さん演じるオリモト(赤チェック)は、台本で読んだときは、なんだこの男は!って感じで、まさしくギークでナードなイヤなサブカル男子って感じだったのですが(女にブスっていうし)
辰海さんが演じると、まあ可愛いらしいこと。
同級生のタナカに、クンクン泣いたり、わめいたり、言動すべてが本当に失礼なやつなのに憎めないんですよね。
え?!どうなってんの?!って何回も思いました。
辰海さんの人柄と、表情さんの脚本がいちばんマッチしたキャラだったんじゃないかな。
キャスティングが勝ちだったと読者として思いました。
辰海さん自身でいうと、本当に最初はイケてる俳優集団guizillenの人だ怖ぁ…って思ってたんですが、単純にすごくお芝居が好きな人なんだなって分かって(わたしが斜に構えた意地悪な質問をしてもそれに謙虚にストレートに返してきてくれてアッすみません…と思いました…若輩者がすみません…)(いっしょに吉祥寺シアターめざそ……)(勝手に言う)
あと役者としてはどんどんオリモトと同化して、最終的にはシンプソンズみたいになってたのが、本当におもしろかったです。(公演終わったらイケてる人に戻ってました)
あと本番までに脱いだらめちゃめちゃいい体になってた。すごい、プロい。稽古で見るたびにわたしも頑張ろうと思って家で腹筋してました。
池田稔さんの演じるタナカは、まあこういうのがいちばんモテるんだろうなってやつなんですけど、日に日にカッコよくなって、え?!どうなってんの?!(2回目)って思いました。
ボケばかりのオールナイトイッポン!で貴重なツッコミキャラなんですが、ツッコミってBL感じるんだぁ…ってしみじみと思いました。
オリモトがイヤな人間にならないのも、タナカのおかげだなってキャラクターのセットのさせ方がすげぇぜ表情豊…って思いました。
あとラッパーの時がほんとにかっこよかった………
でも唯一脱がなかったね!清純派!!!
佐藤遼太さん演じるハラグチは、デブの役だったんですが、もともとそんなに太ってない遼太さんは一生懸命太るために高カロリーのもの食べてて、わたしも頑張ろうと思って家で食事控えたりしてました。
ハラグチは本当に屈折した役で、最終的にはロメロよろしくリビングデッドになるのですが(どんな話だよ)
彼のデブ哀歌が本当にかなしくて、わかる…って気持ちで聞いてました。
キョウコはハラグチがムカついてたけど、たぶん同族嫌悪だったんだろうなあ。
「そう思うなら痩せなさいよ!むかつくのよあのデブ!」って言うセリフがあるのですが、あのとき、過去の自分を見るようで、本当につらかった…。
2回目もぶん殴ってごめんね。踏んだり、いじめさせてくれてありがとう………
あと、佐藤遼太さんと谷くんのシーンの稽古中に表情豊の名言「演技とは〇〇だ」が飛び出してきてくれて、わたしの人生を変えたので、遼太さんには感謝してもしきれないよ…ありがとう…!!!
谷くん演じるタキザワは、キョウコの初恋の相手役で、まあデブと付き合ってからかわれたくないと思ってキョウコを振って、10年後美女(自分で言うか)になったキョウコと再会し、キョウコとは気がつかずに付き合ってるっていう、お前はシェイクスピアの人間か!っていうような節穴ボーイなんですが、最終的にタキザワがキョウコのこと好きになってくれたから、キョウコの呪いは解けたんだなあって思いました。
(オールナイトイッポン!、なんて良い話なんだ…)
キョウコを演じて、タキザワに好きになってもらうたびに、一緒にわたしの呪いもデトックスされるように感じて、本当に楽しい役でした。ありがとう。
余談ですが、谷くんは、拙作の『光の祭典』のときから2回目だったんですけど、
アーもっと面白いキャラクターにしてあげればよかったなあって本当に思いました。
幻灯劇場(という、京都の、藤井颯太郎くんという人が主宰の、いまとっても注目株の、わたしの大好きな劇団がありまして、そこで)のきれいな谷くんしか知らなかったから、こんなにコメディが得意な人だったんだなあって驚きました。
新しい面を知れて本当に嬉しかったな。
あと普段変なTシャツ着てるし変なメガネかけてるから、きちんとスーツ着て髪の毛整えたときあまりにシュッとしてて、怯えた………
最終的にはいちばんやばい裸になってくれて、嬉しかったです。
◇
LINEでやれよ、みたいなことを、長文でつらつらと書いてしまったのですが、そして他にも素敵なキャラクターが4人ほどいるのですが、
先にまとめちゃうと、この4人と、表情豊さんの脚本のマッチが本当に良かったのです。
見てくださった方はそう感じてくださるだろうし、見られなかった方にも届くように、こうして長文を書いているのですが、
彼らを稽古を見るたびにわくわくして、
どんどん好きになって。
男の子の集団って素直で、
ばかで、元気がよくて、
一生懸命で、本当にかわいいなって
思えるようになりました。
★
さて、男の子の集団が嫌いということは、イコールこの世の半分が嫌い、とも言えるということで。
わたしはずーっとこの世界のことが嫌いでした。
厨二病的な発言になっちゃうけど、
人間というのは信用のならないものだと思ってました。
自分も相手も、信じるというのは、
不可侵の条約を結ぶようなものだと、思っていました。
ふれず、さわらず。
当たり障りの無いことを言うこと。
それが、信用だって思ってました。
地獄だね。
わたしにとっての世界は地獄でした。
だから、そういう、地獄のような世界で、
ヒロインがたった一瞬だけ、
男の子によって救われるようなお話を書いてきたんですけど、
オールナイトイッポン!を通して、
あれ?もしかしたら違うかもしんない、
世界ってもっと良いものなのかもしれない、
男の子の集団も信用できるのかもしんない、
女の子も自分のこと見捨てないのかもしんない、
言いたいこと言って崩れない関係をつくることが信用をつくるということなのかもしれない、
世界はそれを愛と呼ぶのかもしれない!
(サンボマスター)
そんな気持ちに、はじめて、なりました。
この一週間、いつもと同じ世界が、きらきらして見えました。
いまも、きらきらしてます。
本当に、この役と、この作品をくださった表情豊さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。
人間の半分を愛せるようにしてくださって、本当にありがとう。
◇
さて、男の子を好きになれたことと、
もう1つ、この作品を通して変わったことがあるのですが、それは新作に書こうと思っています。
宣言したとおり、ラブコメディです!
お前『光の祭典』のときもラブコメディって言ってたじゃん!って思われる方も多いかと思うのですが、今度こそ、本当に、ラブコメディです。
そんでもって、満を辞して、演劇の話を書きたいな。
人間のこと、好きなままで、書き進めたいな。
早く見せられるよう、頑張ります。
◇
ではでは長くなってきちゃったからここから駆け足で!
お父さん役の玉垣さん!
ベテラン俳優さんなのですが、みんなの前では、ええ〜と言いつつ、いざとなると面白さのためにふざけまくるところが、表情さんへの愛を感じました。
(ってか表情豊さんって愛されすぎじゃない?!なんで?!わたしも好きだけど!!大好きだけど!!!いいな?!って思うことがたくさんあった現場でした。いいな…)
あの父親はヤバすぎて台本で読んだときは正直笑えなかったんですが、玉垣さんがやると笑えるお父さんになってて、カレーにいれる卵ぐらい🥚マイルド化がすごいよ玉垣さん…って思いました。
ユミコ役のきだたまきさん。
よくわかんないト書きのシーンがあって、これどうなんの…?と思って演出つけられたけど、本番になってお客さん入ると普通のことをしているだけなのに笑いを持っていくのがすごいと思いました。
楽屋で聞いてて羨ましかった。あと何につけても声がエロくて、全体的に無駄にエロくて、エロの伝道師みたいなきださんの主宰が本当に楽しみです。見にいきます(LINEでやれ)
トモコ役の中西さん。
流れ弾のような役と、うらはらの素の上品さを観客にも見せたいと思いました。楽屋でおっぱいたくさんさわってすみません。
荒れ狂うトモコをもっと見たかった!!!
とりあえず東京日記みにいきます。(禍根が残るぐらい短いうえに当たり障りの無いことしか書けてないけど中西さんならこの短さに秘められた思いをわかってくれると信じている)
そしてそして、小関さん!
カヤシマは、小関さんは、こういう役が似合うのかー!って驚くとともに、わたしのときは発見できなかったよ〜くやし〜〜!!!って思う役でした。
実は、わたしはもう小関さんのことが、文学座の研修科で初めて見た瞬間からめちゃくちゃ好きで。
こんなに村一個を焼き尽くすほどの破壊力を持った可愛い人が世の中にいるのか…!と驚いたもので。
そこからずっと追いかけて、
今年頭の『聖女』で出演してくださって。
でも、谷くんにも感じたように、もっと小関さんの魅力的なところ、わたし出せたんじゃないかなあって稽古を見てて思いました。
至らなかったところ、たくさん思い出したり。
それぐらい、小関さんのカヤシマは、魅力的な役でした。
今回、なんと俳優として共演できて、作中で怒鳴りあえて、本当に幸せだったけど、作家として、もっともっと、小関さんの魅力を引き出せるような、そういう本を書きたいなって思いました。
ラブコールだぜ!いぇい!
◇
超絶長くなりましたが、オールナイトイッポン!についての気持ち、思うだけ書けたので満足です。
本当に、キョウコという役を演じられて、
しあわせでした!
それでは長くなりましたが、
オールナイトイッポンRe:mix!に
お越しくださいまして、
まことにまことに!ありがとうございました!
これからもどうぞよろしくね。
キョウコ/デスバレエ 役
葭本未織