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にんげんはかんがえる葭である

よしもとみおりのブログ

聖女


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『聖女』は16才の時に初めて書いた、
三島由紀夫の短編戯曲『聖女』を脚色した戯曲『聖女』を元に、新しいエピソードを追加して再構築したものになります。
(聖女、のゲシュタルト崩壊しそう)


『聖女』を書いた背景ですが、
そもそもわたしは地元が大嫌いで、
地元から離れたくて学区外の高校を受け、
(他にもその高校に行きたい理由はあったけど)
海辺の家から1時間15分かけて山の中のクソ田舎の高校に三年間通っていました。

中学生活は本当にヒリヒリすることばかりで、
そのころ思い出というのは
高校一年生が終わる頃になっても、
色濃くあたまにこびりついていて、
忘れられませんでした。

2009年の3月、春休み。
「既存の戯曲を元に、新しい短編戯曲を書いてきなさい」という宿題が出ました。
そのときわたしは、
その恐ろしい思い出をある種、
昇華するために、
自分の思い出をまぜこみながら
『聖女』の初稿を書きました。



それから時は経ち、2015年1月。
「卒制やるぞ!」と思い立ち、
「JKビジネスについての卒制やります〜」
とのたまったものの、なんのネタも降ってこないわたしは、
ふと昔書いた『聖女』のことを思い出しました。

なんだかんだで、『聖女』(初稿)は、自分の中学生活のリアルが詰まってるし、これにわたしが高校卒業してからの4年間で感じた全てのことまぜこもう!

つまり
✔︎地震とか、
✔︎愛とか恋とか、
✔︎夢とか承認欲求とか、
✔︎東京とか地元とか、
✔︎それから息するように小さなころから身近にあったゼロ年代のインターネットとか!
そういうことすべてまぜて、新しい話を書くぞ!

と思い、書き始めることになりました。



おもしろいもので、書き始めてからのほうが、人生がおもしろくなりました。


▽なんでかオーストラリアに行くことになり、でもそれがめちゃくちゃ不本意だったのと、遠く離れた日本で就活をはじめたみんなのキラキラツイート&FBを見てシドニーで鬱になって、日焼け止め塗らないで真夏のビーチに行く明るい自傷行為をしたり。
f:id:ysmt30:20151201031643p:image(そこまで焼けませんでした)(自傷行為onインスタグラム)


▷初めて外の舞台に俳優として立って、10年以上そういうことをやってきて、初めて怒られない座組に入ったことで、初めて役に集中して演じることができて、自分のキャラクターというものが掴めてきたり。
良い演出家というのは、俳優を導ける演出家だということに気がついたり。
商業の演出家はめったなことじゃなきゃ人に怒鳴らないと気づいたり(これは本当に大きかった。人間怒られるより、褒められる方が絶対に明るく成長できる。怒ると怒られたことのほうに意識がいって問題点が治らない気がする)


好きな人に拒まれると悲しかったり、
好きでもない人に来られるとつらかったり、
合わない人にひどいことをしてしまったと最後の最後で自覚したり、
そういう人間と人間のぶつかり合い、
みたいなのを芝居を通して
めちゃくちゃ生で感じて、
それが話を書くいちばんの糧になりました。


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△そうそう、あと、アーバンギャルドっていう素敵なバンドにも出会った。
わたしは歌詞しか聞かない音楽不精だから、なかなか新しい歌手に出会えないんだけど(古い名曲ばかり聴いてしまう)(阿久悠サイコー)
新しくできた友達から、たくさん曲を薦められて、そのなかのひとつがアーバンギャルドでした。
アーバンギャルドを聞きながら、稽古に行く途中、どれだけのネタが思い付いたことか。
アーバンギャルドが無ければ、『聖女』は書けませんでした。
ライブに行きたいです。



そう、あと大学!
4年目後期にして「卒制やるなら真面目に大学行かないとな!他の人の卒制も見て劇場の使い方学ばなきゃ!」と思い経ち、同期の卒業制作に出演してみました。はじめての、自分と同じ学生の子の演出を受けての、舞台。

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(△きっと初見ではどういうところでお芝居やっているのか意味のわからない舞台写真)

それが福井歩さん主催の『東京ノート』だったのですが、もう目からウロコだった〜!
演劇ってこんなに自由なんだ?!と思ったし、どこまで何をしても演劇は演劇だし、俳優ってかぎりなく素でいるほどわりと上手く見えるんだということ(だらしなくある、ということじゃないよ)を同じ出演者の同期や後輩から学んだり。

また後日このことについては書きますけど、とにかく、わたしの「演じるということ」「上演するということ」という概念をまるっと変えてくれた作品でした。


そんなかんじで、
いろんな感じたことを、
書き、書き、書きまくり、

上演の10日前にようやく!
決定稿ができあがりました。
(待ってくれた座組のみんなありがとう。)

『聖女』は、
2005年の宮城県・松島と、
2015年の池袋が交錯する物語です。

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過去を断ち切れない女・ユリをとりまく、
4人の生きてる女と、1人の死んだ女、
1人の会えない女と、その女の弟。
計8人の、「みすぼらしくもけなげな天使たち」(by.松田正隆)による、ゼロ年代を生きたあなたに送る物語。

それが、『聖女』でした。

なんだか、このものがたりが、また皆さまに届けられる日が来るような気がするので、あまりストーリーには触れたくない、そんなわたしがいます(笑)
思い過ごしかな、でも本当になったらいいな。

3日間で約100名のお客様にお越しいただけました。
本当に、ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。
また皆さまにお会いできるよう、心をこめて、物語を紡ぎ続けていきます。

これからもどうぞ、よろしくね。

葭本未織

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立教大学映像身体学科松田正隆クラス卒業制作
『聖女』
11/13〜11/15(全3公演)
作・演出:葭本未織
原案:三島由紀夫『聖女』
出演:森部みのり/石渡愛/和田夏恋/
櫻井りか/森川美咲/葭本未織/
篠原ほなみ/粟野志保/野中知樹/伊東諒祐/
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